否唯なしに。

否唯なしに。

否唯なしに。

香りの記憶

 香りの記憶。それについて説明はしなくとも、なんとなく概念自体は想像に難くないと思う。実感があるかどうかは別として、所謂、知識としては知っている、というパターンだ。

 

 さしづめ、僕はその類の人間であって、あまり実体験としての記憶は有していないものの、思い出とその当時身近だった香りがリンクして記憶される的な話は、知見として聴いたことがあった。どちらかというと、自分の場合は思い出とリンクしているのが音とか曲であって、それを聴いた時に当時の記憶が呼び起こされるような経験が多い。そのため、香りの記憶がだいたいどんなものなのかは想像するに難くなかった。難くないと思っていた。(似たような類のそれだと思っていた)

 

 ところが、最近その「香りの記憶」とやらを経験する機会があり、どうやら想像していたそれと、全然違う感覚であることがわかった。なんだろう、音の記憶に比べると、香りの記憶は精神的に影響を及ぼすパワーが大きすぎる。音の記憶は、本当に追憶の一手段といった感じで、それ以上の作用はあまり認められない印象だが、香りの記憶は、何か脳以外に、心に訴えかけるような力を有している。

 

 不意に記憶に関する香りに御身囚われて、精神的な指示系統を全て掌握されたような、そんな無力感に襲われて、端的に言えば非常に驚いてしまった。

 

 驚いて、その記憶に囚われたままでいるのが何故か納得いかなくて、自分の気持ちを誤魔化したくて、その手段として乱文を濫用した。気持ち悪さと心地よさ、相反する二つの感覚が同居しているようで本当にわからない概念だと思う。

 

 不思議な情緒不安定。

 

おわり。

 

 具体性もストーリー性もない、詳述する気のない文章なので、面白みがまるでない。もっとストーリー仕立てで書いた方が良かったか。そんな元気はなかった。