否唯なしに。

否唯なしに。

否唯なしに。

[宣誓]

 以前、好きだった女に、僕の言葉とか文章について、熱心に称賛された事がある。

 きっと多くの人は沢山言葉を並べられて辟易してしまうかもしれない。お腹いっぱいになってしまって、その真意を読み解こうとは思わないと思う。でも私は君の言葉選びとか、文章の造り方、好きだよ。自分の全部を使って、出来るだけ想いを伝えようとするその姿勢、すごく素敵だと思う。

 そんな事を言われた。その女には別に彼氏が居たから、付き合う事は叶わなかったけれど、寧ろ友人として、エゴ抜きに、離れ離れになるまでお互いに居心地の良い関係性を継続できたと思っている。蛇足になるけれど、彼女は本当に人間が出来た奴だったと、大人になった今でも想う。

 何を書きたかったかといえば、それは僕が、僕の紡ぐ言葉の事をとても好いているという事だ。言葉なんて、聴いてくれる人が居ないと色が付かない唯の幻であって、大方、透明なまま何処かに消えてしまうのが常である。けれど僕は、あの日彼女が彩ってくれた、カラフルな言葉達を忘れた事はない。あの日、彼女が聴いてくれた言葉の数々を忘れられない。忘れたくも、ない。いつかまたどこかに、僕の言葉に色を見出してくれる人が居るだろう。その時の為に、僕は僕の好きな言葉を、きっと紡ぎ続けようと思う。

 

ーーーBlog「否唯なしに。」開設にあたって。

みえい/弥永唯 ー2021.7.1