否唯なしに。

否唯なしに。

否唯なしに。

ポケルスが呼んだ悪友

 柄にも無く、友人の話を少ししようと思う。

 昨今話題のポケモンUNITEやBDSPは、連日新種のバグが発見されてTwitterが騒がしい事この上ないが、思えば致命的なバグが基本的に存在しないポケモン剣盾というコンテンツは、我々新規ポケモン勢にとってのBibleだったのかもしれないと感じ始めている。私がポケモン剣盾を手に取った理由は、当時打ち込んでいた部活動の在籍期間を満了して手持ち無沙汰になったから、という至極適当なものだった。だいぶ暇になるし、新しい趣味にでも、と言った具合だ。RPGや対人ゲームは苦手な部類のそれであり、当初は育成ゲームとして購入した覚えがある。オシャボ厳選や色厳選のような、ちまちまとした作業が楽しかった。

 そういうわけで、レアなポケモン同士を交換するようなイベントへの参加を検討するようになったのはごくごく自然な事だった。以前、USUMをプレイした際に交換用に開設したTwitterアカウントを一新し、剣盾での交換や交流を目的としたアカウントはこうして誕生した。前作を特に真面目にプレイしていなかった事もあり、あまり魅力的な交換要素を提示できなかった私は、レアなポケモンではなく、ポケルスが着いたポケモンの提供をメインの交換条件にして取引に参加していた。ストーリープレイ中に偶然発見された、努力値が振りやすくなるウイルスだ。今となっては、剣盾の育成環境が良好すぎて、ポケルスを汎用しているポケモントレーナーは皆無だと思うが、七世代を少しかじっていた頃の知識に基づけば、ポケルス(とかパワーバンド系の道具)はポケモンの育成に必須級の代物であった筈だったし、当時はとりあえず確保しておこう的な思考に落ち着いているトレーナーも多かったように思う。

 そうしてポケルスを所持していないポケモンに変換していた最中、ある配信者から声がかかった。配信者からポケルスを分けてくれと声をかけられた事は無かった為、少し興味が湧いて彼の配信を見に行った。暇が祟って、この頃には私も配信活動を試みていたので、所謂、大手ではないというか、趣味で配信をしていそうな人間の配信がどの様なものなのか、純粋に気になった。初めて彼の配信内でどの様な絡みをしたのかまったく覚えてはいないが、後で彼が自分の配信を覗きに来てくれたことを考えると悪いファーストコンタクトではなかったのだと思う。

 時間が経つに連れて我々は自然と仲を深め、暇な時にはお互いの配信に顔を出し、少し企画を立ててコラボ動画なども投稿してみた。思考の波長が丁度良く合い、会話のリズムも心地いい、趣味趣向も似通った物を感じて、その関係性が濃密になるのはもはや必然だった。このような「波長がピタリと合う友人」にはなかなか巡り会えないから、時間が経ってその人間性に共通のそれが垣間見える度にそこはかとなく嬉しい気持ちになり、そしてポケルスに感謝した。そう、この稀有で奇跡的な出会いはなんとポケルスが繋いでくれた仲なのだ。俄には信じ難いが、所謂「運命の出会い」ってやつはある種こういう事を言うのかもしれないと思った。

 最近では、その関係はネット上の関係からリアルな関係へと昇華され、出会った時期の遅さを埋める様に、丁寧に、そして急速に仲を深めさせて頂いている。共に食う飯は美味いし、カラオケに入れば丁度良く盛り上がれるし、酒を片手に語り出せば止まらない。引いては彼の友人に僕の事を紹介して貰った事もあり、さらにその交友関係が広がるなど、ありがたい事この上ないといったところだ。

 先日開催された旧友との忘年会の席で、僕は彼の話をした。珍しく、波長が合ってこんな関係まで発展した友人がいてね、といった具合だ。すると旧友一同からは、「お前(作者)と話が合う人間なんて珍しい、俺らも会ってみたい」という声が飛んだ。なるほど確かにそうだ、と思った。せっかくだし、いつか折を見て彼を旧友に紹介してみようと思った。きっと、面白い化学反応が起こるに違いない。楽しみで仕方がない次第である。

 そうして、ポケルスが繋いだ友情はここまで発展してきた。まさかここまで親しくなるとも思っていなかった。何度も言うようにありがたい事この上ない。先日、久しぶりに邂逅を果たし、そろそろ2年の付き合いになる事を思い、節目として書いた。今後も良き関係を継続できる事を切に願って、筆を置くことにする。

 

おわり。

 

P.S. 言わずもがな、ここに書いた彼以外にもその関係を濃く、永く続けてくれている友人は少なくない。感謝すると共に、今後の関係の継続を切に願うところである。